最初は我慢。途中からぐっと興味を引かれる面白さ
プログレというとマニアックな音楽だと思われているが、こんなタイトルがついていたらますます選民主義的になるではないか、最初はそう思った。読みはじめても冒頭のキングクリムゾンの方法論の変遷やプログレがプログレッシブであることを文明の中に位置づけようとする記述の辺りは正直言って退屈だった。さすがに学者の文章だなと言う感じ・・・。
しかし、その後パトリック・モラーツの評価をめぐる話の辺りからぐっと興味を引かれる。ELPのパフォーマンスを評して「世の中には『無駄遣い』]しなければ示せない『才能』もあるのだ」と言うくだりや、イエスの主要メンバーを評して「いつも同じことをやる。つまりプログレッシブではないことでイエスのイエスたるゆえんを支えてきた」など、読んでいてワクワクするようになった。
巻末の名盤20は、国内外からの選定で、なかなか公平な目配りだと感じた。
全体的に4大バンドを中心としたプログレ黎明期から絶頂期を対象にしているが、次は現代に向けて、新しい世代のプログレバンドの解釈や方法論に対する論考を読んでみたい。
斬新なプログレ論
パトリック・モラーツ/レフュジーをプログレの「標準」とする、などというプログレ論は未だかつてなかっただろう。この一点だけ取っても、全てのロックファンが一度は読むべき本である。個人的には最も好きな、再結成以前のキング・クリムゾンに関する記述が余りなかったのが残念だが、それ以上に教えられるところが多く有益だった。とくに「冨田勲とドビュッシー」に関するくだりは、現代の音楽的感性について考察するのに重要な示唆を与えてくれる。
平凡社
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