買いですが・・・。
手にずっしりと大著といった印象の本書はディランのオール・タイムの伝記とまとめることができるように思いますが、その軸足が今まであまり触れられることのなかった女性関係等のプライベートな面に置かれているので、そういった方面に殊更興味を抱かない向きにはやや退屈かと思われます。実は僕もそうで、それらの知識がディランの音楽の深い理解には必ずしもつながらないように思うので、ポール・ウィリアムスや自伝のほうが遙かに有益のような気がします。
後世に残る傑作
〜暴露本ではありません。まだ30代の、若いくせに実力のあるジャーナリストが、たんねんに膨大な資料にあたり、気の遠くなるほどの関係者へのインタビューで裏をとり、抑制のとれたペンの力でディランの実像に迫ります。 〜〜 巨大企業を相手にしているわけでもないのに、ここまで念入りな仕事をするのはやはり相手がディランだからでしょう。どんな訴訟を起こされてもビクともしない仕事ぶりに頭が下がります。ディランの伝記には以前から、評判のたかい労作がありますが、この本のほうが数倍苦労しているし信頼できます。 〜〜 たいしたもんだよ、ハワード。君の書いたこの本はおそらく、後世に残ることだろう。でもね、ぼくはディラン・ファンだから、君の仕事はちょっと痛かったな。ディランもずいぶん傷ついたんじゃないかな。秘密にしておきたいこともいろいろあっただろう。しかしずっと後の世になってから、とても有益な資料として、この本が評価され続けるであろうことは間違い〜〜ないよ。複雑な気分だね。だから星1つ引いて4つにしておいたよ。わるく思うなよ。ハワード。。。君とだけは友達にはなりたくないね。尊敬はするけど。〜
あまり知らなかった80年代のディラン
ディランを一番聞いていたのは10年くらい前でしょうか。音源もオフィシャルはほとんど持ってるし、バイオ本も何冊か読みました。でも正直一番好きなミュージシャンではありませんでした。どんな状況で何をやってもディランは凄い才能だ、なんて盲信するファンにはなれないし、かといって60年代の諸作品にある鋭さや「血の轍」のセンシティブには心を揺り動かされずにはいられない、そういうありきたりのファンの一人です、私は。 で、この本ですが、興味深く読めます。やっぱり凄いディラン、付き合いたくない嫌な奴ディラン、上昇志向で応援したくなるディランなど様々な角度で書かれています。他のバイオ本と決定的に違うのは、そういった視点を持ちながらもディランへの敬意を失わない文章。 50年代からあまり知らなかった80年代(デッドとのジョイントがこんな顛末とは始めて知りました)、90年代まで編年で書かれています。肩に力の入らないディランを知りたい方は是非ご一読を。
河出書房新社
ボブ・ディラン自伝 ドント・ルック・バック ~デラックス・エディション~【完全生産限定盤】 ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム
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